第9章

重い足音が階段を上りきり、こちらに近づいてくるのと、ドアノブが回るのがほぼ同時だった。心臓が早鐘のように打っていた。スマートフォンはまだ鳴り続けている――画面には和也の名前が点滅していた――けれど、出る勇気はなかった。

私は急いで熊のぬいぐるみからUSBメモリとボイスレコーダーを取り出し、USBをブラにしまい込み、レコーダーをポケットに滑り込ませて、スマートフォンの電源を切った。

「ターゲットは二階だ。全部屋探せ!」廊下から荒々しい男の声が響いた。

裏窓へと忍び寄る。足音はすぐドアの外だ――重く、切迫している。

捕まるわけにはいかない。今だけは。

窓を押し開けると、冷た...

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